本講演会は地震発生のため中止いたします。
以下の通り第168回談話サロンを開催いたします。別紙の参加申込書で3月14日までにお申込み下さい。
申込み先は e-mail: academy@eaj.or.jp
またはファックス: 03-5442-0485
あて先は、日本工学アカデミー事務局、として下さい。
申込書には、
1)氏名
2)もったいない学会の会員/もったいない学会の会員の紹介の区分
3)連絡先(電話 or e-mailアドレス)
を記載して下さい。
日時:2011年3月21日(月、春分の日) 13:30-16:50
場所:学士会館 320号室 東京都千代田区神田錦町3-28
(都営三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線「神保町」駅下車A9出口1分、または東京メトロ東西線「竹橋」駅下車3a出口5分)
主催:社団法人日本工学アカデミー
協賛:NPO法人もったいない学会
テーマ:石油文明が終る日本はどう備える
背景:IEAは、2010年11月、在来型石油の生産ピークは2006年であったことを公表した。さらに、中国などの需要増にはカナダオイルサンドや天然ガス液の増産でまかなえるとの予測があるが、実際は将来に対しては不透明である、と述べている。在来型石油以外のエネルギー開発はEPR低下、環境破壊などの大きな課題がある。今後低エネルギー社会到来は必至である。
話題提供: (13:30-14:50)
1)世界の炭化水素資源の現状と課題
鈴木勝王氏 石油資源開発株式会社副社長
世界の石油生産はピークを迎えた。米国と世界の石油生産量の実測と予測と、石油埋蔵量に関する専門家の悲観論・楽観論を紹介する。また世界の原油のエネルギー収支比(EPR)は1930年代以降低下していること、低品位の資源のEPRは低いことを議論する。さらに太陽光や風力などの再生可能エネルギーのEPRについても議論する。
2)低エネルギー社会における日本のプランB
石井吉徳氏 人類未来戦略フォーラム代表、もったいない学会会長
いまの世界的な経済不況の深層に石油ピークがある。それは、人は自然の恵みで生かされているからである。地球は有限、資源は質が全てと理解すると未来が見えてくる。新聞、テレビは経済浮揚策、温暖化一辺倒のようだが、それも「石油ピーク」を理解する必要がある。エネルギー無しには何も動かせず、何も作れないからである。もう欧米の権威を単純受容しない、自分で考える、それが国際力学で強かに生きることに繋がる。「もったいない」と思う、豊かな心、人の絆を大切にする多様な地域社会を目指す、科学合理性とリアリズムを基に、21世紀の理念を育てたい。エジプト革命は多くを教えている、何をそれから学ぶか、私見をのべる。
休憩: (14:50-15:05)
パネル討論: (15:05-16:45)
1)中東UAEの成長戦略 (10分)
小寺保彦氏 JX日鉱日石開発株式会社探鉱部グループマネジャー
中東UAEは、石油が生み出す富で、当面豊かな生活が保障されているが、そうした中、敢えて「石油に頼らない」国の将来像を、国のトップが思い描き、その実現に向けての戦略を明確に打ち出している。本講演では、UAEの2つの首長国アブダビとドバイを取り上げ、その異なる成長戦略と将来像実現に向けての取り組みを紹介する。
2)エネルギー収支的視点で見る人間社会 (10分)
松島潤氏 東京大学大学院工学系研究科准教授、もったいない学会理事
科学的なアプローチに基づいて、エネルギー問題における私達の立ち位置を明確にし、将来を見通す方法論について紹介したい。生物はエネルギー収支の制約の元で、進化あるいは絶命を遂げてきたという見方がなされ、この考え方を人間社会に適用する試みが生態学分野で提唱されている。エネルギー収支的視点から見た日本社会の現状と将来について分析した結果について紹介する。
3)エネルギー問題とイノベーション(10分)
松見芳男氏 伊藤忠先端技術戦略研究所長
グローバル化するイノベーションの動きの中で、産業におけるベンチャーの役割が増大。エネルギー分野も例外ではない。
4)石油ピーク後の都市論 (10分)
山本達也氏 名古屋商科大学コミュニケーション学部専任講師
石油ピークを迎え、世界が石油減耗期に突入することになると、これまで国際社会の「主役」を務めてきた近代国民国家は、大きな困難に直面することになるだろう。「国家」が相対的にその地位を落とす中で、注目されるのが「都市」である。なぜ、今、都市なのか。その理由と、石油ピーク後の都市のあり方について新しい価値観であり、新しい社会階層が存在する。
5)科学とデザインができること (10分)
今泉真緒氏 日本科学未来館 展示企画
オイルピーク後の社会には、地球スケールの「大きな時間」をもってモノづくりをとらえていくことが必要ではないだろうか。現代の大量生産型消費社会における「より速く・多く」という仕組みの生産活動で、持続可能な手法を考えるためには、技術論から議論をはじめるのではなく、まずは異なる分野間の、モノをとらえる視点に関する対話が必要だろう。科学とデザインをつなぐ立場から、両者の役割と、これからのモノづくりにおける可能性について考える。
6)オイルピーク後の低エネルギー社会対応戦略試案(10分)
旭岡勝義氏 (株)社会インフラ研究センター代表取締役、日本工学アカデミー理事、もったいない学会理事
オイルピーク後に備えるためには、今後の段階的な対応政策が重要であり、社会インフラ変革を含めて低エネルギー社会への転換戦略を推進する必要がある。こうした総合的な政策の展開をどのように進めるべきかを、事例を含めて展開する。
7)総合討論 (40分)
進行役:大久保泰邦氏 産業技術総合研究所連携主幹、もったいない学会監事
・話題提供者・パネリストへの質疑応答
・新しい社会作り 従来と違う発想は?
・ベテランと若手のコミュニケーション 石油文明終焉後に生きる次世代の考えは?
おわりに: (16:45-16:50) 以上